就労支援の現場では、支援員が企業に同行して職場環境を確認する機会があります。実際に働く本人が安心して長く働けるかどうかを見極めるために、支援員の目は非常に重要です。
この記事では、支援員が企業訪問を通じて感じた「本当に働きやすい職場」の特徴を紹介します。
支援員の視点から見える“働きやすさ”
障害者雇用などを進める中で、休職者本人は「正社員」や「勤務時間」「給料」などを重要視されることが多いのですが、短期間で辞めてしまう人と長く続く人では見るポイントが大きく違います。
例えば以下のようなポイントを見ることはとても大切です。
- 自身の考えや意見を否定せずにしっかりと聞いてくれるか
- 自分が言えないことを支援員や周りの助けを得て伝えることができるか
- 本当に自分に合った職場が面接前に見極めることができるか
働きやすい職場の共通点
支援員私が実際に毎年多くの企業人事、管理者と話してきた中で、精神障害や発達障害の方が働きやすい職場には共有する特徴があります。
1. 本人のことを知ろうとする姿勢がある
企業側が「この人はどんな特性があるのか」「どんな支援があると働きやすいのか」といった視点で接してくれる職場は、定着率が高い傾向があります。単なる労働力としてではなく、一人の人間として理解しようとする姿勢が、安心感につながります。
また、合理的配慮がもらえないと悩んでいる場合は「職場での合理的配慮がされないとき、どう対応すべきか」の記事も参考に見てみましょう。
2. 見学や実習の機会が事前にある
実際に働く前に職場を見学したり、短期間の実習を通じて仕事内容や雰囲気を体験できる企業は、ミスマッチを防ぐ工夫をしています。これは本人にとっても「ここならやっていけそう」と感じられる重要な判断材料になります。
面接前に見学や実習を行うと時間がかかるように見えますが、最低でもどちらかを行うことで「企業の担当者の雰囲気」なども知ることができ、場合によっては面接前に「実質的に内定が決まっている」ということも少なくありません。
3. 支援員との連携を希望している
支援員との連携を前向きに捉えている企業は、問題が起きたときの対応もスムーズです。定期的な面談や報告の場を設けてくれる企業は、支援体制が整っている証拠です。
就労移行支援には就職後半年間のみフォローするだけの事業所も多いのですが、定着支援も行っている事業所ではその後最大3年間定着支援としてフォロー体制があります。


4. 企業が自分の考えを押し付けすぎない
「うちのやり方に合わせてもらう」というスタンスではなく、「本人に合った方法を一緒に考える」姿勢がある企業は、柔軟性があり、働きやすさにつながります。



「この人はもっとできるはず」というように思っていても、それを伝えすぎるとプレッシャーになったり、フラッシュバックしてうつ病の再発に繋がるケースもあります。
支援員が見た“働きやすい職場”の具体例
以下は、支援員が企業同行で実際に見た職場の特徴をまとめたものです。
| 特徴 | 具体的な行動 |
|---|---|
| 本人理解 | 面接時に過去の経験や得意なことを丁寧に聞く |
| 事前体験 | 1日職場体験や短期実習を受け入れている |
| 支援連携 | 支援員との連絡を定期的に取り、報告書を活用 |
| 柔軟性 | 業務手順や休憩時間を本人に合わせて調整 |
就職先は“本人が決める”ことの重要性
支援員や家族、周囲の人が「この企業が良さそう」と勧めることはあります。しかし、最終的に就職先を決めるのは本人であるべきです。なぜなら、
- 本人が納得していないと長続きしない
- 自分で選んだという意識が責任感につながる
- 働く上でのモチベーションが違ってくる



支援員は情報提供や選択肢の整理をする役割であり、決定権は本人にあります。また、「親に勧められたから」という理由で働く場合も、何かあったときに人のせいにしてしまう確率が高くなります。
支援員ができること:職場選びのサポート
支援員は、以下のような形で職場選びをサポートできます。
- 企業見学や実習の調整
- 本人の希望や特性を企業に伝える
- 職場での支援体制を確認する
- 就職後のフォローアップ体制を整える
求人票には「障害について分かるものを持参」と書いている企業もあるが、書いていない場合も事前に用意して配慮事項なども正確に伝えることでお互いが働きやすい職場となる
まとめ:働きやすい職場は“関係性”で決まる
働きやすい職場とは、設備や制度だけでなく「人との関係性」が大きく影響します。本人を理解しようとする姿勢、支援員との連携、柔軟な対応など、関係性の質が職場の居心地を左右します。
そして、就職先は必ず本人が決めること。支援員はその選択を支える存在であり、本人の意思を尊重することが何よりも大切です。
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