就労移行支援を利用していると、担当スタッフとどうしても合わないと感じる瞬間が出てくることがあります。通所がストレスになったり、相談しづらくなったりすると、就職準備や訓練の効果にも影響が出るため、早めに対処することが重要です。
本記事では「合わない」と感じたときの具体的な対処法、担当変更の伝え方のコツ、他の就労移行支援事業所の検討ポイントやおすすめ事業所の探し方まで、支援現場での実例を交えて丁寧に解説します。
この記事で得られること
- 担当スタッフと合わないときの選べる対処法が分かる
- 担当変更をお願いするときの具体的な伝え方のコツが分かる
- 事業所を変更する際の比較ポイントと探し方が分かる

実際に支援現場で働いた経験を元に、支援現場では直接教えることはないコツなども紹介します。
「スタッフが合わない」と感じるのは悪いことではない
まず押さえておきたいのは、担当スタッフと相性が合わないと感じるのはあなたのせいでもスタッフのせいでもなく、よくあることだという点です。
性格や価値観、支援のスタイルは人それぞれであり、支援現場でも相性のミスマッチは発生します。
大切なのは、その感情を放置せず、あなたが安心して通所し続けられる環境を整えることです。
人間観県において、どのグループに所属したとしても「10人中2人ぐらいはとても気が合う人、1人は絶対に合わない人、残りの7人ほどはどちらでもない人」と言われている。
よくある「合わない」と感じる理由



今まで歩んできた価値観や経験はみんなバラバラのため、合わないと感じることはいろんな場面であります。
価値観やコミュニケーションのズレ
よくある価値観などでは以下のことがあります。
- 指示が細かすぎて窮屈に感じる
- 距離感が近すぎてストレスになる
- 逆に放任すぎて支援が受けられていないと感じる
専門性や理解度の違い
精神障害や発達障害の方にとって、自身をよく理解してくれるかどうかはとても重要です。
- 障害特性への理解が浅く感じる
- 現場経験や業界知識に差があり、不安になる
- 他のスタッフの方が自分を分かってくれる
態度や言葉づかいの問題
また、スタッフの人間のため、普段の言葉遣いでも気になることもあります。
- 言葉づかいが雑、または事務的すぎる
- 冗談や指摘の仕方が合わない
- 本気で相談しているのに一緒に考えてくれない
合わないと感じたときの対処法(全体像)
まずは選べる行動を一覧にしておきます。状況やあなたの希望に合わせて、適切な方法を選んでください。
対処法 | 向いている状況 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
我慢して続ける | 軽い不快感で改善の余地があるとき | 環境を変えず継続できる | ストレス蓄積の可能性 |
信頼できるスタッフに相談する | 場内に相談相手がいる場合 | 早期解決の可能性が高い | 相談が苦手だと難しい |
担当スタッフの変更を依頼する | 直接の対応が合わないとき | 担当者との距離が改善される | 手続きや時間がかかる場合がある |
他の就労移行支援を利用する | 事業所全体の方針や雰囲気が合わないとき | 環境をリセットして再スタートできる | 移行時の手間や地域による選択肢の制限 |
第三者機関や相談窓口に相談する | 解決が難しいトラブル、説明が不十分なとき | 中立的な視点で調整してくれる | 手続きが増える可能性 |



全員に正解となる対処法は存在しないため、あなたにとってピンとくる対処法を実施する必要があります。
具体的な対処法1:まずは「信頼できるスタッフ」に相談する
就労移行支援では担当スタッフが中心となって支援することは多いですが、他のスタッフに相談してはいけないわけではありません。以下の相談のポイントも押さえましょう。
いつ相談するか
- 違和感を感じた直後から、溜め込まず早めに相談する
- 感情が高ぶっているときは一度冷静になる時間を取る
相談のポイント
- 事実と感情を分けて伝える(例:「先日の対応でこう言われて傷ついた」)
- 望む解決策を具体的に示す(例:「週に1回は別のスタッフに面談してほしい」)
- 相手が直接対応できない場合は、何をしてくれるか確認する
具体的な対処法2:担当スタッフの変更を依頼する
担当変更はあなたの正当な権利です。変えることで安心して支援に臨めるなら、遠慮せずに申し出ましょう。
担当変更を依頼する前の準備
- 「なぜ合わないのか」を具体的に整理する(言葉づかい、対応の仕方、理解不足など)
- 望む変更内容を決める(別の年齢層、性別、経験のあるスタッフ希望など)
- 相談する相手(相談員・管理者・第三者)を決める



私が支援してきた就労移行事業所でも相性が合わず担当変更を依頼されるケースはありました。ただ、コツを押さえておくかどうかで結果も大きく変わります。
担当変更を伝えるときの伝え方のコツ(具体例つき)
伝え方によって、相手の受け取り方やその後の対応が変わります。以下は使いやすい言い回しの例です。
- 事実ベースで短く伝える
例:「最近の面談で話しづらさを感じていて、別の担当の方に変えていただけますか?」 - 感情を含めつつ冷静に伝える
例:「私には合わないと感じる部分があり、今後の支援が不安です。担当を変更していただけると助かります」 - 具体的な希望を伝える
例:「年齢の近い方か、業界理解のある方に担当していただけると助かります」 - 代替案として相談を提示する
例:「まずは週1回、別のスタッフと面談して様子を見たいのですが可能ですか?」
断られた場合の次の一手



支援員の視点では「ご利用者の考えを全て受け入れる」のは支援ではなく、時には断るケースもあります。ただ、あなたご自身を守ることが一番大切なので、次の方法も紹介します。
- 理由を聞き、代替案(別時間帯・別スタッフとの併用)を提案する
- 管理者や相談窓口に話を行う
- それでも解決しない場合は、別事業所の利用を検討する
具体的な対処法3:他の就労移行支援を利用する(事業所変更)
事業所全体の雰囲気や方針が合わない場合、別の事業所に移る判断は合理的で有効です。ここでは事業所選びのポイントと、移行時の注意点を解説します。
事業所を比較するためのチェックリスト



就労移行支援にも多くの数がありますので、以下のポイントをチェックしましょう。
- 支援方針(個別支援計画の有無・頻度)
- スタッフの専門性(資格・現場経験)
- 通所の雰囲気(見学での印象)
- プログラム内容(就職支援・スキル訓練・実習の有無)
- 通いやすさ(アクセス・通所頻度)
- 利用者の声や口コミ(可能なら見学で直接聞く)
事業所変更の手順(簡潔な流れ)
事業所を変更する場合は以下の手順となります。
- 現事業所に相談し、退所や異動手続きの方法を確認する
- 新しい事業所を見学・相談する
- 利用開始の手続きを行う(市区町村や支援機関への連絡が必要な場合あり)
- 移行後のフォローを新旧事業所で調整する(引継ぎ)



現事業所に相談すると引き止められてスムーズに進まないケースも多いため、自分で調べていきなり②に進む、または相談支援事業所や障がい者就労・生活支援センターに相談するのもOKです。退所する前に見学・体験等行えます。
トラブルが起きたときに使える第三者窓口・相談先の考え方
事業所内部で解決が難しい場合、第三者機関へ相談する選択肢もあります。市区町村の障害福祉窓口や地域の相談支援事業所、専門の相談窓口など、中立的な立場で調整してくれる機関を利用しましょう。
実際のケーススタディ(現場で見た例)



以下は私が支援現場で実際に見てきた事例です。
ケース1:自分のことを理解してくれないスタッフへの不満
ある利用者は、スタッフがいつも「〇〇さんが考えて」というように促すため、「相談する意味がない」と怒っていました。管理者を含めた面談を行い、スタッフがそのように対応していた意図を説明するとともに、担当職員がメインからサブに変更し、支援方針を調整しました。
ただ、すぐにスムーズにはいかず、他の職員との面談も多く重ねました。
ケース2:放任すぎる支援で不安が増した例
別の利用者は、具体的な就職支援が不足していると感じていました。担当変更を依頼し、業界経験のあるスタッフに担当が変わったことで、具体的な応募書類の添削や面接練習が始まり、就職につながった例があります。
担当変更や事業所変更を考えるときの心理的なケア



変更する場合、あなた自身が自分を責めないようにすることも大切も大切です。
- 「変えることは悪いことではない」と自分に言い聞かせる
- 相談相手にまず自分の不安を話すことで気持ちが整理される
- 小さな一歩(別スタッフに1回だけ相談する、見学だけ行く)を勇気づけとして活用する
おすすめの事業所を選ぶための実践的な探し方
地域で評判の良い事業所を見つけるには、以下の方法が有効です。
- 就労移行支援を複数見学、体験し、自分の目で確認する
- 考えるだけではなく、まずは問い合わせしてみる
- 支援実績(就職決定率や実習先の業種)を確認
- 事業所のホームページで詳細を事前に調査



就職実績が全くゼロで、小さな会社の場合は支援ノウハウが不足している場合もありますので注意が必要です。
他の就労移行支援でおすすめの事業所(選び方の観点)
ここでは具体名ではなく、どのような特徴の事業所をおすすめするかを示します。地域や個人のニーズによって合う事業所は変わるため、選び方の視点を重視してください。
内容 | おすすめの人 |
---|---|
就職実績が豊富 | 安心して就職活動をしたい |
在宅訓練など実施 | 通所以外でも訓練、働きたい |
少人数制できめ細かな支援 | 一人ひとりに寄り添ったサポートを重視する人 |
通学・通勤を意識した時間帯で運営 | 働くリズムを作りたい人、通所が負担になりにくい |
支援プログラム | その業種、仕事内容に興味がある人 |
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記事まとめ:自分に合う支援環境を主体的に選ぶことが大切
担当スタッフと合わないと感じたとき、最初にできるのは「話すこと」と「整理すること」です。
それでも改善しない場合は、担当変更を頼むか、事業所自体を変える判断が有効です。どの選択をするにしても、あなたが安心して訓練や就職活動に集中できる環境を選ぶことが最優先です。
この記事の会話例やチェックリストを参考に、一歩を踏み出してみましょう。