受診同行とは?支援者が知っておきたい基本と実践ポイント
障害のある方や支援が必要な方が医療機関を受診する際、支援者が同行する「受診同行」は、単なる付き添いではなく、本人の意思を尊重しながら医療との橋渡しをする重要な支援です。
この記事では、受診同行の基本的な考え方から、事前準備、当日の対応、報告書の作成まで、支援者が押さえておきたい実践ポイントを具体的に解説します。
受診同行の目的とは?
受診同行の目的は、本人が安心して医療を受けられるように支援することです。医師とのコミュニケーションが難しい場合や、診察内容を理解するのが困難な場合に、支援者がサポートすることで、診療の質や本人の満足度が向上します。
主な目的

一人で受診すると必要な情報を伝えられていないことも多く、支援員が同行することで就職や症状の安定に繋がります。
- 本人の不安軽減と安心感の提供
- 医師との情報共有の補助
- 診察内容の理解支援と記録
- 診察後のフォローアップ支援
事前準備:受診メモの作成
受診同行の質を高めるには、事前準備が鍵です。特に「受診メモ」の作成は、本人の困りごとや伝えたいことを整理するうえで非常に有効です。
受診メモに含めるべき項目
私が実際に支援するうえでも、多くの方が事前に受診メモを作成しています。
記載する項目としては以下のものがあります。
項目 | 内容例 |
---|---|
メインの内容(困っていること) | 最近眠れない、頭痛が続いている など |
生活状況 | 睡眠状況、服薬状況、支援体制など |
本人の希望 | 薬を減らしたい、検査を受けたい など |
支援者からの補足 | 本人が言いづらいこと、観察された変化など |
受診当日の対応
就労支援員は企業やハローワークなど様々な場面で同行するかと思いますが、受診同行時の対応について説明します。
基本姿勢
- できる限り本人が自分の言葉で伝えることを尊重する
- 支援者は補足や通訳的役割に徹する
- 医師とのやり取りを記録する(メモを取る)
支援者がすべてを代弁してしまうと、本人の主体性が損なわれる可能性があります。本人が話すのが難しい場合でも、「○○さんはこう言っていました」と本人の言葉を引用する形で伝える工夫が有効です。



主治医は「先に本人の言葉を聞きたい」「その後に支援者の言葉も聞きたい」ということば多いです。
診察室での立ち位置
支援者は、本人の隣に座ることで安心感を与えつつ、医師とのやり取りをサポートします。医師の話を本人が理解できているか確認しながら、必要に応じて通訳的に補足します。
診察時の報告書作成
私の事業所では訓練の報告書を作成し、主治医へ渡しています。
就労移行でも全ての事業所で行っているわけではないようで、この書類でも渡すことで喜ばれる先生は多いです。
報告書の構成例
項目 | 記載内容 |
---|---|
受診日時・場所 | ○月○日 ○○クリニック |
同行者 | 支援員 ○○ |
睡眠時間、服薬 | 就寝時間と起床時間、服薬管理 |
訓練内容 | 他利用者との関係性など |
今後の支援方針 | 就職活動時期や詳細など |
基本的には事前に本人に見せることが望ましいです。「自分で伝えれないことを言ってくれている」という安心感や、「よく見てくれている」という信頼関係にも繋がります。ただ、通所が不安定な方や本人の前で言えない内容が含まれている場合は本人には見せず、場合によっては本人退席後に話をするのが有効です。
支援者が意識すべき3つのポイント
就労支援員が受診同行する際の重要なポイントを紹介します。
1. 本人の意思を尊重する
「代わりに話す」のではなく「本人が話す支援をする」という意識が重要です。本人が話すことに挑戦できるよう、事前に練習するのも有効です。
2. 医療者との信頼関係を築く
支援者が医師に対して過度に介入すると、医療者との関係がぎくしゃくすることもあります。あくまで橋渡し役として、冷静かつ丁寧な対応を心がけましょう。
3. チーム支援につなげる
受診同行の情報は、他の支援者や家族と共有することで支援の質が向上します。報告書を活用し、支援会議などで共有しましょう。
また、もし就職活動を進める前にオープン・クローズなど決めかねている場合は以下の記事が参考になります。


まとめ
受診同行は、支援者の「付き添い」以上の役割を果たす重要な支援です。事前準備・本人の意思尊重・報告書の共有という3つの柱を意識することで、より質の高い支援が可能になります。
本人のためを思った支援は積み重ねが大切のため、日々小さな努力も継続して行っていきましょう。