障害特性を職場に伝えるときのポイント|支援員が作るシート例

支援員が職場で障害特性を説明し、関係者と話し合っているイラスト

就労支援の現場では、「障害特性をどこまで、どのように職場へ伝えるか」という問題に日々直面します。
伝え方を誤ると、本人にとって不利になったり、職場側の誤解や過度な配慮につながったりすることもあります。

一方で、障害特性や必要な配慮が適切に共有されていれば、職場でのトラブルは大きく減り、定着率も高まります。
その“橋渡し役”となるのが、支援員の重要な役割です。

この記事では、障害特性を職場に伝える際の基本的な考え方と、支援員が実際に使える「障害特性シート」の作り方・記載例を詳しく解説します。

目次

なぜ「障害特性の伝え方」が重要なのか

支援員

私が定着支援員として数多くの企業と実際に話しましたが、配慮事項や障害特性は伝え方が変わると大きく変わります。

伝え方ひとつで職場の理解度が大きく変わる

同じ障害特性であっても、伝え方次第で職場の受け止め方は大きく変わります。

例えば

「〇〇ができません」とだけ伝える

「〇〇は苦手ですが、△△を配慮していただければ対応できます」と伝える

この2つでは、職場側の印象はまったく異なります。

障害特性を正しく、かつ具体的に伝えることで、

  • 過剰な心配
  • 誤解による評価の低下
  • 不必要な制限

これらを防ぐことができます。

本人任せにしないことが定着支援につながる

「本人が説明できれば問題ない」と考えられがちですが、実際には難しいケースも多くあります。特に発達障害の方には以下の特性がよくあります。

  • 自分の特性を言語化するのが苦手
  • 遠慮して必要な配慮を言えない
  • 過去の経験から話すことに不安がある

こうした場合、支援員が整理したシートを使って説明することが、本人を守り、職場との信頼関係を築く近道になります。

障害特性を職場に伝えるときの基本ポイント

支援員

ネガティブな言葉で終わらないことが重要です。

①「できないこと」だけで終わらせない

障害特性を伝える際、つい「苦手なこと」「難しいこと」ばかりを並べてしまいがちです。
しかし、それだけでは職場側は対応方法が分からず、不安を感じてしまいます。

必ず次のセットで伝えることが重要です。

  • 困りごと・苦手な点
  • その理由(特性によるもの)
  • 具体的な配慮や工夫

② 抽象表現ではなく具体例で伝える

「コミュニケーションが苦手」「集中力にムラがある」といった表現だけでは、職場には伝わりません。

具体例としては、以下のようになります。

  • 朝礼での口頭指示が理解しづらい
  • 曖昧な表現より、期限や手順が明確な指示が助かる
  • 外線はパニックになる

③ 配慮事項は「お願い」ではなく「方法」として伝える

配慮を「特別扱い」「お願いごと」として伝えると、職場に心理的負担を与えてしまうことがあります。

NG例

「配慮してあげてください」

OKの例

「〇〇などの方法だと力を発揮しやすくなります」

あくまで業務を円滑に進めるための工夫として伝えることがポイントです。

支援員が作る「障害特性シート」とは

支援員

支援現場でも役立ちますので、障害特性シートを使ってみましょう。

障害特性シートの目的

障害特性シートは、本人・支援員・職場の三者が共通理解を持つためのツールです。

主な目的は以下の通りです。「職場に正確な情報を伝える」「口頭説明の補助として使う」「配慮事項を明文化し、認識のズレを防ぐ」

口頭説明+シートが最も効果的

シートだけを渡すのではなく、支援員が同席して説明する場面で使うことで、誤解や不安を最小限にできます。

障害特性シートに入れるべき項目

以下は、支援員が作成する際に押さえておきたい基本構成です。

項目内容のポイント
基本情報氏名、配属予定、連絡先(必要最小限)
障害特性の概要診断名ではなく、特性として説明
得意なこと業務で活かせる強み
苦手・困りごと具体的な業務場面で記載
有効な配慮実績のある支援方法
本人の希望開示範囲や対応の希望

【例】障害特性シートの記載例

障害特性の概要(例)

音や人の動きに敏感で、集中が途切れやすい

口頭での指示より、文章やメモの方が理解しやすい

得意なこと(例)

決められた手順の作業を正確に行う

コツコツと継続する作業が得意

苦手・困りごと(例)

急な作業変更があると混乱しやすい

曖昧な指示内容を自分で補完することが難しい

有効な配慮・工夫(例)

作業指示は紙やチャットで伝える

作業変更時は事前に一言説明を入れる

可能であれば静かな席配置にする

職場に説明するときの支援員の立ち位置

「代弁者」ではなく「翻訳者」になる

支援員

支援員は本人の代わりに話す存在ではなく、
本人の特性を職場向けに分かりやすく翻訳する役割です。

  • 専門用語は使わない
  • 現場の業務に落とし込んで説明する
  • 職場の質問を丁寧に受け止める

この姿勢が、信頼関係づくりにつながります。

職場の不安を否定しない

職場側から不安や懸念が出るのは自然なことです。
それを否定せず、一つずつ整理していくことで、受け入れ体制が整っていきます。

また、仕事量が多くなりすぎると心の余裕がなくなってしまいます。なぜ仕事を断れないのか?心理的背景と対処法の記事で断れない時の対処法も解説していますので見てみましょう。

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まとめ|シートは「定着支援の土台」になる

障害特性を職場に伝えることは、本人のためだけでなく、職場全体のためでもあります。「正しく伝えることでトラブルを防げる」「配慮が明確になり、現場が動きやすくなる」「本人が安心して働き続けられる」というように、支援員が作る障害特性シートは、就職後の定着支援を支える重要なツールです。


ぜひ現場に合わせてアレンジしながら、活用してみてみましょう。

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