障害者雇用が進む中で、就職後の「定着」が大きな課題となっています。採用されたものの、職場環境や業務内容、人間関係などの理由で早期離職してしまうケースも少なくありません。
そこで注目されているのが「定着支援」です。
この記事では、障害者の定着支援の概要から、支援内容、対象者、利用方法、そしてよくある質問までをわかりやすく解説します。
定着支援とは?
定着支援の定義
定着支援とは、障害者が職場に安定して働き続けられるよう、就職後も継続的に支援を行う制度やサービスのことです。支援者が本人・企業双方に関わり、職場での課題を早期に発見・解決することで、離職を防ぎます。
なぜ定着支援が必要なのか
- 障害特性に応じた合理的配慮が職場で十分に行われないことがある
- 業務内容や人間関係に悩み、孤立してしまうケースがある
- 企業側も障害者雇用に不慣れで、対応に戸惑うことがある
合理的配慮については以下の記事にもまとめています。

定着支援の支援内容
定着支援では、以下のようなサポートが行われます。
支援内容 | 具体例 |
---|---|
企業訪問・面談 | 支援者が職場を訪問し、本人・上司と面談して課題や悩みを共有 |
業務調整の助言 | 業務量や内容の調整、障害特性に応じた配慮の提案 |
メンタルサポート | 不安やストレスへの対応、相談支援 |
企業側への支援 | 障害理解の促進、対応方法の助言 |
関係機関との連携 | 医療・福祉・家族との連携による包括的支援 |

私が定着支援員としてサポートしてきた事例でも、「業務内容の変更」「勤務時間の調整」など多くの相談を受けてきました。
定着支援の対象者
定着支援の対象となるのは、以下のような方々です。
- 障害者手帳を持つ方
- 就労移行支援や就労継続支援を経て一般就労した方
- ハローワークや障害者就業・生活支援センターを通じて就職した方
事業所によっては「他事業所から就職した方の定着支援は入らない」と決めている事業所もある。就職前を知らずに定着支援だけ介入すると、障害特性やスキルなど分からない点があるため、双方に安定した助言が難しい。
定着支援の利用方法
利用までの流れ
就労移行支援事業所などを通じて、就職前から相談する。
定着支援を利用したい希望を伝える。
本人と企業の希望や困りごとを確認し、計画を作成する。
面談や企業訪問を通じて定着支援を実施。



就労移行支援と同じように定着支援事業も新たに計画を結ぶようになります。手続きは事業所がサポートしてくれることがほとんどなので、もし不安を感じたら相談してみましょう。
利用できる支援機関
- 就労移行支援事業所
- 障害者就業・生活支援センター
- ハローワーク(障害者専門窓口)
- 地域障害者職業センター
福祉業界ではよくナカポツと言う言葉が出てきますが、これは障害者就業・生活支援センターのことです。名称の中間に「・」があることでそう呼ばれるのですが、正式名称をあだ名で呼ぶようなものなので、直接この言葉を言うと失礼になりますので注意しましょう。
定着支援に関するよくある質問



できるだけ本人の自立をサポートするため面談回数は月~3か月に1回など少ないですが、本当に悩んでいる際は月に数回の面談や企業訪問するなどして、臨機応変に対応しています。
まとめ:定着支援は障害者雇用の安定に不可欠
障害者の定着支援は、本人の安心と企業の理解を両立させる重要な取り組みです。就職はゴールではなくスタート。長く働き続けるためには、就職後の支援が欠かせません。
もしあなた自身や支援対象者が職場で悩みを抱えているなら、ぜひ定着支援の活用を検討してみてください。支援者が伴走することで、働くことへの不安が軽減され、安定した就労が実現します。
今後も障害者雇用の現場では、定着支援の重要性がますます高まっていくでしょう。
今回は定着支援事業について解説しましたが、就労移行移行支援については以下の記事でまとめていますので是非参考にしてみましょう。

