うつ病で休職した人が復職前に準備すべきこと

うつ病からの復職準備として、机でノートに向かう若い男性。傍らにはノートパソコン、目覚まし時計、ビジネスバッグが置かれている。

うつ病による休職を経て、復職を考え始めたとき、多くの人が「本当に戻れるのか」「また同じように苦しくなるのではないか」と不安を抱えます。

復職はゴールではなく、新たなスタートです。焦らず、段階的に準備を進めることで、再発を防ぎながら安定した職場復帰が可能になります。

私は現職で就職のサポートと同時に復職のサポートも行っていますので、支援員から見て感じた復職の視点なども同時にお伝えします。

目次

復職準備の基本的な考え方

焦らないことが最も大切

復職を急ぐ気持ちは自然なものですが、焦りは回復の妨げになります。周囲の期待や経済的な不安から「早く戻らなければ」と思うかもしれませんが、心身の安定が最優先です。

復職は「元の生活に戻ること」ではなく、「新しい働き方を模索すること」と捉えると、気持ちが少し楽になります。

主治医との相談を重ねる

復職のタイミングは、主治医との継続的な相談を通じて判断することが重要です。医師は症状の安定度や生活リズム、ストレス耐性などを総合的に見て、復職の可否を判断します。

また、ほとんどの企業では復職の際に主治医の診断書の発行も必要になるため、医師との信頼関係を築いておくことが大切です。

復職前に整えておきたい生活習慣

規則正しい生活リズムの確立

休職中は生活リズムが乱れがちです。復職に向けて、起床・就寝時間を一定にし、朝食をとる、日中に軽い運動をするなど、基本的な生活習慣を整えましょう。これにより、心身の安定が促され、職場復帰後の疲労感を軽減できます。

通勤のシミュレーション

復職後の通勤が負担にならないよう、実際の通勤時間に合わせて外出する練習をしてみましょう。最初は近所を散歩するだけでも構いません。徐々に距離や時間を延ばし、通勤に慣れていくことで、復職後の不安を軽減できます。

職場との連携と調整

人事・上司との面談

復職前には、職場の人事担当者や上司との面談を行い、復職後の業務内容や勤務形態について話し合うことが必要です。フルタイム勤務が難しい場合は、時短勤務や段階的な業務復帰などの配慮を求めることもできます。自分の状態を正直に伝えることが、長期的な安定につながります。

職場環境の確認

復職前に職場と面談することも多いのですが、その際に環境を確認することも大切です。自席の場所、周囲の雰囲気、業務内容の変化などを事前に把握しておくことで、復職初日の不安を軽減できます。私が復職のサポートを行う際に、以下の相談などもよく行っています。

  • 勤務時間は休職前と同じか、配慮してもらうか
  • 復職後残業はしばらく控えてもらうか
  • 休職前と同じ職場なのか。別の業務にするか
支援員

復職者は休んだ期間が申し訳ないと感じてしまって頑張りすぎてしまう傾向があります。復職後すぐは残業を控えさせてもらうなど、自分を守る環境づくりが必要です

リワーク支援の活用

リワーク支援とは

リワーク支援とは、うつ病などで休職した人が職場復帰するための準備を支援するプログラムです。医療機関や地域の支援センターで提供されており、グループワークや個別相談、模擬勤務などを通じて、復職に必要なスキルや体力、対人関係の調整力を養います。

リワーク支援のメリット

  • 復職への不安を軽減できる
  • 同じ経験を持つ人との交流ができる
  • 専門家のサポートを受けながら段階的に準備できる

リワーク支援は、復職後の定着率を高める効果もあるとされており、再休職のリスクを減らすためにも積極的に活用したい制度です。

リワーク支援ってどこにあるんですか?

支援員

有名な支援機関であれば、「職業センター」や「ウェルビー株式会社」などがあります。

職業センターとは?

就職に向けての相談、職業評価(課題の洗い出し)、職場復帰の支援等、ジョブコーチ等障害状況に応じた支援を行っている

参考サイトはこちら

ウェルビー株式会社とは?

すべての人が「希望」を持てる社会の実現に向けて、障害者の方向けの支援を行っている。就労移行支援では就職に向けた支援を、自立訓練やリワークセンターでは復職に向けたリワーク支援も行っている。

参考サイトはこちら

復職後の働き方を見直す

完璧を目指さない

復職後は「以前と同じように働かなければ」と思いがちですが、完璧を目指すことは再発のリスクを高めます。

できることから少しずつ取り組み、無理のないペースで仕事に慣れていくことが大切です。周囲の評価よりも、自分の体調と向き合うことを優先しましょう。

ストレス対策を習慣化する

復職後もストレスは避けられません。だからこそ、日常的にストレスを軽減する習慣を持つことが重要です。例えば、週末に自然の中で過ごす、趣味に没頭する、カウンセリングを定期的に受けるなど、自分に合った方法を見つけておきましょう。

まとめ:復職は「再スタート」

うつ病からの復職は、単なる「元に戻ること」ではなく、自分らしい働き方を再構築するための再スタートです。焦らず、段階的に準備を進めることで、心身の安定を保ちながら職場復帰を果たすことができます。

主治医との相談、生活習慣の見直し、職場との連携、そしてリワーク支援の活用など、できることから一歩ずつ始めてみましょう。

あなたのペースで、あなたらしい復職を目指してください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次