ワーキングメモリが低いとどうなる?日常生活への影響と対策

ワーキングメモリが低い人の困りごとや対策を紹介するアニメ風アイキャッチ画像

「さっき聞いた内容なのに覚えられない」 「複数の指示を受けると頭が真っ白になる」 「仕事の段取りがうまく組めない」

このような悩みの背景には、 “ワーキングメモリの弱さ”が関係していることがあります。

ワーキングメモリとは、 「頭の中のメモ帳」のような機能です。

ADHD・ASDの方の中には、 この働きに苦手さがあり、

  • 仕事の抜け漏れ
  • ケアレスミス
  • マルチタスクの混乱
  • 会話の聞き漏らし

などにつながることがあります。

実際の支援現場でも、 「頑張っているのにミスが減らない」 という相談は非常に多いです。

この記事では、 ワーキングメモリが低いとどう困るのか、 仕事や日常への影響、 具体的な対策について、 支援員視点も交えながら分かりやすく解説します。

また、ADHD・ASDの仕事全体の困りごとを整理したい方は、 以下の記事も参考にしてください。

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目次

1. ワーキングメモリとは?

「頭の中の付箋」のように、今必要な情報を一時的にキープし、思考や行動に活かす機能です。アラン・バデリーのモデルでは、以下の4つの構成要素があります。

構成要素役割
中央実行系(Central Executive)注意の切り替えや、情報の統合を担う指揮塔
音韻ループ(Phonological Loop)言語情報の一時保持とリハーサル
視空間スケッチパッド(Visuospatial Sketchpad)視覚・空間情報の保持と操作
エピソードバッファ(Episodic Buffer)複数の情報を統合し長期記憶とつなぐ

2. ワーキングメモリが低い人に起こる主な困りごと

支援員

ワーキングメモリが弱いと、単に「忘れる」だけではなく、学習や仕事、人間関係まで幅広い影響が出ます

2-1 学習・記憶の困難

  • 授業内容や仕事の内容をノートにまとめても、復習時に前後関係が思い出せない
  • 長文を読んでも前半の情報を覚えられず、内容理解が進まない
  • 暗記科目の定着に時間がかかり、学習効率が低下

2-2 コミュニケーションへの影響

  • 会話中に相手の話を聞きながら自分の発言を組み立てにくい
  • 複数の指示を同時に受けると途中で混乱し、やり直しを繰り返す
  • 長電話やオンライン会議中にメモを取りそびれ、重要な内容を聞き逃す

2-3 仕事・作業効率の低下

  • マルチタスクが苦手で、切り替えに時間がかかる
  • メールや資料の参照箇所を行ったり来たりして時間を浪費
  • ToDoリストの更新を忘れ、納期遅れや作業の抜け漏れが発生

2-4 日常のミスとストレス

  • 買い物リストを見ずに買い物し、後から重要なものを買い忘れる
  • 約束の時間や場所を記憶できず、連絡や待ち合わせの再調整が必要に
  • 料理や家事の途中で手順を忘れ、やり直しが増えて時間と精神的負担が大きい

3.ワーキングメモリが低いと仕事でどう困る?

ワーキングメモリが低い人の仕事の困りごとを図解でまとめたアニメ風イラスト(口頭指示・マルチタスク・ケアレスミス・優先順位・報連相)

実際に私が支援を行ってきた中でも、前職などの困りごとを多く聞きました。その一例を紹介します。

3-1 口頭指示を覚えられない

例えば伝言ゲームでも苦手な方と得意な方っていますよね?

これは決して悪い事ではなく、得意不得意として自分を知ることが必要です。ワーキングメモリが低い状態では、メモやマニュアルがない状態の口頭指示は特に苦手としています。

3-2 マルチタスクで混乱しやすい

一般企業では常にいろんな指示が発生し、「〇〇の仕事」を並行しながら「緊急の仕事」というようにマルチタスクや判断が求められます。このような場合も悩みごととなります。

3-3 ケアレスミスが増える

「〇〇の仕事が終わったら〇〇」というように組み立てていても、途中で忘れることが多いため、小さなミスなどが多発することも多くあります。

3-4 優先順位が分からなくなる

支援員

障害者枠の合理的配慮では「仕事の優先順位を決めてほしい」ということも伝えることがありますが、一般企業では自身で決めるためトラブルになるケースが多いです。

3-5 報連相で抜け漏れが起きる

理想としては5W1Hを使って「いつ」「誰が」といった要点を押さえて伝えるのがいいのですが、ワーキングメモリが低いと「話している途中で忘れてしまう」ということが発生します。

4. ワーキングメモリ低下の原因と測定方法

ワーキングメモリの性能は個人差が大きく、発達障害や加齢、ストレスなどが影響します。まず原因を理解し、適切に測定することが改善の第一歩です。

4-1 ワーキングメモリ低下の主な原因

支援員

ワーキングメモリが低い方は多くの職場でも見かけましたが、発達障害の方は業務に影響が出る程度のことが多々ありました。

  • 発達障害(ADHD、ASD)など神経発達条件の影響
  • 高ストレス状態や睡眠不足による一時的な機能低下
  • 加齢による脳機能の変化
  • 栄養不足や運動不足

4-2 測定方法の比較

スクロールできます
テスト名対象情報時間メリットデメリット
数字スパンテスト音声の桁数保持約5分簡単・短時間で実施可言語依存度が高い
Corsiブロックテスト位置情報の再現約10分視空間スケッチパッドを評価専用装置や環境が必要
WAIS作動記憶課題総合的バッテリー約30分総合評価が可能実施時間が長い

また、ワーキングメモリは、 「実行機能」の一部とも言われています。

実行機能については、 ADHD・ASDに共通する“実行機能の弱さ”とは?原因と対策を紹介の記事でも詳しく解説しています。

5. 困りごとを解消する!ワーキングメモリ対策のポイント

「環境を整える」「デジタルツールの活用」「トレーニングとルーチン化」という3つの主要な視点が、クローラーやスクリーンリーダーに明確に伝わるように整理しています。

ワーキングメモリは「訓練」と「環境整備」で補うことができます。ここでは3つの視点から具体策を紹介します。

5-1 環境を整える

  • 付箋やホワイトボード:目につく場所に情報を書き出して物理的に保持
  • フローチャート・チェックリスト:作業手順を可視化して見失いを防止
  • タイマー・リマインダー:時間管理アプリやアラームでタスク切り替えをサポート

5-2 デジタルツールの活用

カレンダーを使用した対処法や、以下のように発達障害の実例をまとめている記事もありますので参考にしましょう。

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5-3 トレーニングとルーチン化

  • 脳トレアプリ(デュアルNバック、記憶パズル):継続的な訓練でワーキングメモリを刺激
  • 暗唱練習:電話番号や短い文章を音声化して繰り返しリハーサル
  • 決まった動作ルーチン:家事や仕事の開始・終了手順を固定し負荷を軽減

6. 発達障害の特性を踏まえたサポート例

ADHDやASDのある方は、ワーキングメモリ補助を一層手厚くすることで日常のストレスを大幅に減らせます。

  • タスク分割:大きな作業を小さく切り分け、一つずつクリアする
  • 視覚スケジュール:ホワイトボードに今日の予定を色分けして表示
  • ペアワーク:家族や同僚と進捗を報告し合い、自己管理をサポート
  • 環境音調整:集中しやすい音楽やホワイトノイズで注意を安定化

また、実際の会社では支援員が合理的配慮を企業に伝えることでよりよく働くことに繋がります。

7. ワーキングメモリ強化のための比較表

支援員

ワーキングメモリとしても、手軽にできるものや対策に時間がかかるものもあります。自身に合う方法を試行錯誤することが大切です。

対策方法メリットデメリット
フローチャート・チェックリスト視覚で手順を把握しやすい作成に時間がかかる場合がある
タスク管理アプリ自動リマインドで忘れ防止アプリ操作習得に学習コスト
脳トレアプリ継続で記憶保持力が向上モチベーション維持が課題
暗唱・口唱練習音声情報保持力を鍛える実践の場面を作りにくい

よくある質問

ここで、ワーキングメモリに関するよくある質問をお伝えします。

Q&A

ワーキングメモリは改善できますか?

近年の脳科学研究では、覚えられる「容量そのもの」を劇的に増やすのは難しいとされていますが、情報を処理する「質」を高めることや、脳疲労を減らすアプローチが非常に有効であることが実証されています。

ADHDの人はワーキングメモリが低いですか?

ADHDの特性を持つ人は、脳の「前頭前野」と呼ばれる部分の機能や、神経伝達物質(ドーパミンなど)の働きに偏りがあると考えられています。この前頭前野はワーキングメモリを司る司令塔であるため、機能的な弱さが生じやすくなります。

仕事が続かない原因になりますか?

ワーキングメモリが低いことでミスや遅れが生じやすく、報告などもうまくいかないことから結果として職場での評価低下や本人の自信喪失(メンタルダウン)につながりやすくなります。その結果、転職を選ぶケースが多くあります。

支援現場でも多くの方が悩んでいますか?

私が支援してきた中でも多くの方が悩んでいます。しかし、メモの取り方や合理的配慮の伝え方、訓練などで多くの方は訓練前より働きやすくなっています。

まとめ:今日から始めるワーキングメモリ対策

ワーキングメモリは訓練と環境整備で確実に補強可能です。まずは付箋やアプリのアラーム設定など、簡単な一歩から取り入れてみましょう。

小さな成功体験が積み重なり、仕事や学習、プライベートでのストレス軽減と自己肯定感アップにつながります。

自分の困りごとに合った対策を試しながら、継続的に工夫を重ねることが大切です。ぜひ今日から「あなた専用のワーキングメモリ強化プラン」を始めてみましょう。

こんな悩みはありませんか?

  • 仕事が続かない
  • 配慮の伝え方が分からない
  • 一人で転職活動が不安

それなら、就労移行支援という選択肢があります。

現役支援員として本当に勧められる事業所をまとめました。

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