「もう仕事を辞めたい…」
発達障害や精神障害のある方の支援をしていると、この言葉を聞く機会は少なくありません。
実際に、仕事でミスが続いたり、人間関係に悩んだり、体調が不安定になったりすると、「辞めた方が楽になるのではないか」と考えることは自然なことです。
しかし、感情だけで退職を決めてしまうと、後から「もう少し続ければよかった」「別の方法があったかもしれない」と後悔するケースもあります。
私自身、就労移行支援・自立訓練・定着支援の現場で多くの方を支援してきましたが、仕事を辞める前に確認しておくだけで状況が大きく改善した方も少なくありません。
この記事では、発達障害・精神障害のある人が仕事を辞めたくなったときに確認したい7つのことを、支援員の視点から解説します。
今すぐ退職を決断する前に、一度立ち止まって確認してみてみましょう。
仕事を辞めたくなるのは珍しいことではない
まず知っておいてほしいのは、仕事を辞めたいと思うこと自体は決して珍しいことではないということです。
支援員特に発達障害や精神障害のある方は、職場環境や人間関係、業務内容との相性によって大きなストレスを受けることがあります。
以下のような悩みは非常によく聞かれます。
- ミスが続いて自信を失った
- 上司との関係がうまくいかない
- 職場に馴染めない
- 合理的配慮が受けられない
- 毎朝出勤するのが苦痛
- 体調が悪化している
- 将来が見えない
大切なのは、「辞めたい=すぐ辞める」ではなく、まず原因を整理することです。
仕事を辞めたくなったときに確認したい7つのこと



私が実際に支援員として行っている現場を見て、辞める前のポイントを解説します。
① 辞めたい原因は何なのかを整理する
最初に行いたいのが原因の整理です。
支援現場でもよくあるのですが、「辞めたい」という気持ちは強くても、具体的に何が辛いのか整理できていないケースがあります。
| 原因 | 例 |
|---|---|
| 業務内容 | 仕事が難しすぎる、向いていない |
| 人間関係 | 上司や同僚との関係が悪い |
| 環境 | 騒音や人の多さで疲れる |
| 体調 | 疲労や不眠が続いている |
| 将来への不安 | このままでいいのか分からない |
② 一時的なストレスなのかを見極める
仕事には繁忙期や環境変化があります。
例えば以下のような時期は、一時的に負担が大きくなります。
- 異動直後
- 入社直後
- 担当業務の変更時
- 繁忙期
- 人員不足の時期
一時的なストレスであれば、数週間から数か月で改善することもあります。
今の辛さが「ずっと続いている問題」なのか、「最近起きた問題」なのかを整理してみましょう。
③ 体調が悪化していないか確認する
発達障害や精神障害のある方の場合、仕事の問題と思っていたら実は体調の問題だったというケースも少なくありません。
以下に当てはまる場合は注意が必要です。
- 眠れない
- 朝起きられない
- 食欲がない
- 休日も疲れが取れない
- 以前よりミスが増えた
- イライラや不安が強い
体調不良が続いている場合は、退職を考える前に主治医へ相談することをおすすめします。
④ 合理的配慮を相談したか確認する
障害者雇用で働いている場合、合理的配慮を受ける権利があります。
実際には、配慮を相談する前に我慢し続けてしまう方も少なくありません。
例えば以下のような配慮があります。
- 業務量の調整
- 勤務時間の調整
- 静かな席への変更
- 指示方法の変更
- 定期面談の実施
退職を決める前に、「相談したかどうか」を一度振り返ってみましょう。
⑤ 信頼できる人に相談したか確認する
一人で悩み続けると、どうしても視野が狭くなります。
相談相手としては以下のような方がおすすめです。
- 上司
- 人事担当者
- 家族
- 主治医
- 支援員
- ジョブコーチ
- 定着支援員
私自身の経験でも、第三者へ相談したことで退職を回避できたケースは数多くあります。
⑥ 今の職場で改善できる可能性はあるか考える
退職しか選択肢がないと思っていても、実際には改善できるケースがあります。
| 困りごと | 改善策 |
|---|---|
| 業務が難しい | 業務内容の調整 |
| 指示が分からない | 文書化を依頼する |
| 人間関係 | 配置転換や担当変更 |
| 疲労が強い | 勤務時間の調整 |



退職する前に「改善できる余地はないか」を確認することが大切です。
⑦ 辞めた後の計画を考えているか確認する
感情的に退職してしまうと、その後の生活が不安定になることがあります。
退職を考える場合は、最低限以下を整理しておきましょう。
- 次の仕事をどうするか
- 生活費はどうするか
- 失業保険は利用できるか
- 就労移行支援を利用するか
- 休養期間を設けるか
「辞めること」だけではなく、「辞めた後」を考えることが重要です。
どうしても限界なら休職という選択肢もある
退職以外にも休職という選択肢があります。



体調が大きく悪化している場合は、無理を続けるよりも一度休むことが必要な場合もあります。
特に以下のような状態であれば、主治医へ相談することをおすすめします。
- 出勤前に涙が出る
- 不眠が続いている
- 食事が取れない
- 強い不安や抑うつがある
- 体調不良が長期間続いている
就労移行支援や定着支援を活用するという方法もある


もし今後の働き方に悩んでいるのであれば、支援機関を活用する方法もあります。
特に就労移行支援では以下のような支援を受けることができます。
一人で抱え込まず、専門家と一緒に今後を考えることで選択肢が広がることもあります。
また、障害者雇用で働くためのロードマップ|就労準備から転職までの全ステップの記事では段階ごとの進み方を解説しています。


まとめ|辞める前に一度立ち止まって確認してみよう
仕事を辞めたくなることは決して悪いことではありません。
しかし、感情だけで退職を決めてしまうと、後から後悔することもあります。
まずは以下の7つを確認してみましょう。
- 辞めたい原因を整理する
- 一時的なストレスか見極める
- 体調悪化がないか確認する
- 合理的配慮を相談したか確認する
- 信頼できる人に相談する
- 職場で改善できる余地を探す
- 辞めた後の計画を考える
それでも退職が最善の選択であれば、決して間違いではありません。
大切なのは、「今の感情だけ」で判断するのではなく、自分にとって最も良い選択肢を冷静に考えることです。
一人で悩み続ける必要はありません。支援機関や家族、職場の担当者など周囲の力も借りながら、自分らしく働ける環境を探していきましょう。
