「頑張っているのに仕事が続かない」 「何度も同じミスをしてしまう」 「周囲と同じように働けず苦しい」
このような悩みを抱えているADHD・ASDの方は少なくありません。
私は現役の就労支援員として支援現場に関わっていますが、 「努力しているのに評価されない」 「どんなに気を付けてもミスが続く」「集中力が続かない」 という相談を多く受けます。
発達障害による働きづらさは、“甘え”や“やる気不足”ではなく、 脳の特性によって起きている場合があります。
この記事では、 ADHD・ASDの人が仕事で困りやすい理由、 具体的な対策、 働きやすくする工夫について、 支援員視点も交えながら分かりやすく解説します。
ADHD・ASDの人が仕事で困りやすいのはなぜ?
支援員ADHDやASDの特性は、 学生時代よりも「仕事」で困りやすくなるケースがあります。また、この記事では参考となるリンクも適宜載せていますので、一緒に見ていきましょう。
仕事では、
- 複数の作業を同時に進める(マルチタスク)
- 優先順位を考える
- 人間関係を調整する
- 時間管理をする
- 報連相を行う
など、多くの能力が求められるためです。
特にADHD・ASDの人は、 「実行機能」と呼ばれる力に苦手さを抱えていることがあります。
実行機能(Executive Function)とは、ある目標を達成するために思考や行動を調整する認知機能のことです。実行機能に困難があると、職場では仕事の段取りが悪くなったり、時間内や期限内に仕事を終えられないといった課題が生じることがあります。
引用元:障害者職業総合センター
実行機能について分かりやすく言うと、 「やるべきことを整理して行動する力」のことです。
例えば、
- 何から始めればいいか分からない
- 優先順位が混乱する
- 途中で別のことに気を取られる
- 締切管理が苦手
などの困りごとにつながります。
詳しくは以下の記事でも解説しています。
ADHD・ASDの人によくある仕事の困りごと


指示を覚えられない・抜け漏れが多い
「さっき言われた内容を忘れてしまう」 「メモしたのに抜けてしまう」 という悩みは非常に多いです。
これはワーキングメモリの弱さが関係していることがあります。



ワーキングメモリとは、 “情報を一時的に保持しながら処理する力”です。
例えば、
- 口頭指示を覚える
- 複数工程を同時に進める
- 会話しながらメモを取る
などで必要になります。
支援現場でも、 「さっき指示を聞いたのに、新しいことを聞いたら最初のことが全く思い出せない」 と悩む方は少なくありません。
詳しくは以下の記事も参考にしてください。
マルチタスクが苦手で混乱しやすい
仕事では、 電話対応をしながら事務作業を進めるなど、 複数作業を同時に求められる場面があります。
しかしADHD・ASDの人は、 同時進行で強い負担を感じやすいことがあります。
特に、
- 急な割り込み
- 優先順位変更
- 同時指示
などで頭が真っ白になるケースもあります。
実際の支援現場でも、 「一つずつならできるのに、同時になると混乱する」 という相談は非常に多いです。
頭の中がごちゃごちゃして整理できない
「何から始めればいいか分からない」 「やることが多すぎて動けない」 という状態になる人もいます。
これは、 情報整理の苦手さや実行機能の弱さが関係している場合があります。
特に、 頭の中だけで管理しようとすると混乱しやすくなります。
そのため、
- メモ術
- タスク管理
- 見える化
が重要になります。



実例なども紹介しています↓↓
ケアレスミスが続いてしまう
確認漏れや入力ミスが続き、 「自分は仕事ができない」と落ち込む人も少なくありません。
しかし、 ミスの背景には、
- 注意の切り替え
- 疲労
- 情報量の多さ
- 焦り
などが関係している場合があります。
支援現場では、 「工夫を入れたことでミスが減った」 ケースも多くあります。
例えば、
- チェックリスト化
- ダブルチェック
- 作業手順の固定
などです。
感覚過敏で疲れやすい
職場の音や光、人の動きで強く疲れてしまう人もいます。
例えば、
- 電話音
- 話し声
- 蛍光灯
- におい
などが負担になることがあります。
周囲からは分かりづらいため、 「気にしすぎ」と誤解されることもあります。
私が勤務している事業所でも、「カリキュラムの声」「音楽」「職員の声」などが混ざって集中できないと相談を受けたこともあります。
しかし、 環境調整によって改善するケースも少なくありません。
人間関係に疲れて孤立しやすい



仕事そのものより、 人間関係で疲弊するケースもあります。
特に、
- 雑談が苦手
- 空気を読むのが難しい
- 曖昧な指示が苦手
などで孤立感を抱える人もいます。
実際の支援現場でも、 「悪気はないのに誤解される」 というケースはよく見られます。
なぜ仕事が続かなくなってしまうのか?


頑張りすぎて限界まで無理してしまう
ADHD・ASDの人の中には、 「周囲に合わせよう」と無理を続けてしまう人もいます。
その結果、
- 強い疲労
- 不眠
- 抑うつ
- 出勤困難
などにつながる場合があります。
支援現場でも、 「突然限界が来て退職」 というケースは少なくありません。
職場環境とのミスマッチがある
能力の問題ではなく、 職場環境との相性が原因の場合もあります。
例えば、
- 電話が多い
- 急な変更が多い
- マルチタスク中心
などの環境では、 特性とのミスマッチが起きやすくなります。
ADHD・ASDの人が働きやすくする工夫



「頑張る」ではなく、働きやすくなるための工夫や環境づくりが大切です。
仕事を“見える化”する
頭の中だけで管理せず、 外に出して整理することが大切です。
- メモ
- タスク管理
- スケジュール化
- チェックリスト
などを活用すると、 負担を減らしやすくなります。
合理的配慮を相談する
職場へ相談することで、 働きやすくなるケースもあります。
例えば、
- 口頭ではなくマニュアルでの指示
- お客様対応が少なく、静かな席へ変更する
- 仕事の優先順位の明確化
などです。
以下の記事では配慮について伝えるタイミングなども解説しています。
自分に合う働き方を探す
「普通に合わせる」ではなく、 自分に合う働き方を探す視点も大切です。
例えば、
- 障害者雇用
- 在宅勤務
- 静かな職場
- 業務固定型
などで安定する人もいます。
働きづらさを感じた時は支援を使うことも大切


就労移行支援を活用する
就労移行支援では、
- 自己理解
- 職業訓練
- 就職サポート
- 職場定着支援
などを受けることができます。
支援現場でも、 「自分の特性を整理できたことで働きやすくなった」 ケースは多くあります。



私が就労支援員として勤務している中で、感じていることを以下の記事でも紹介しました。
転職支援サービスを使う
一人で転職活動を進めるより、 障害理解のある転職サービスを活用した方が、 働きやすい職場に出会いやすい場合もあります。
まとめ|「働けない」ではなく「働き方を調整する」視点が大切
ADHD・ASDによる働きづらさは、 「努力不足」ではなく特性によるものの場合があります。
そして、 工夫や環境調整によって改善できることも少なくありません。
実際の支援現場でも、 「自分に合う働き方」を見つけたことで、 安定して働けるようになった方を多く見てきました。
まずは、 「自分を責める」のではなく、 困りごとを整理することから始めてみてみましょう。
