「就労移行支援って自分にも必要なのかな?」
障害やメンタル不調を抱えながら就職活動をしていると、一度はそんな疑問を持つのではないでしょうか。
実際、就労移行支援はすべての人に必要な制度ではありません。
一方で、利用することで就職後の定着率が高まり、長く安定して働けるようになる人がいるのも事実です。
私はこれまで就労移行支援、自立訓練(生活訓練)、定着支援事業所で勤務し、多くの精神障害・発達障害のある方の就職支援を行ってきました。
支援員その経験から言えるのは、「利用するべき人」と「利用しなくてもよい人」には明確な違いがあるということです。
この記事では現役支援員の視点から、就労移行支援を利用するべき人の特徴と、利用しなくてもよい人の特徴を詳しく解説します。
就労移行支援とは?まずは簡単におさらい



就労移行支援とは、一般企業への就職を目指す障害のある方を対象にした福祉サービスです。
利用期間は原則2年間で、就職活動だけでなく、働き続けるための準備も行います。
| 支援内容 | 具体例 |
|---|---|
| 生活支援 | 生活リズムの安定、体調管理 |
| 職業訓練 | パソコン、ビジネスマナー、軽作業 |
| 就職支援 | 履歴書作成、面接練習、求人紹介 |
| 定着支援 | 就職後の企業との調整や相談支援 |
つまり、単なる職業訓練校ではなく、「就職して長く働くための準備をする場所」と考えると分かりやすいでしょう。
また、料金などについては就労移行支援の費用・交通費・自己負担をわかりやすく解説の記事で解説しています。
就労移行支援を利用するべき人
就労移行支援は、単に「障害があるから利用する」というものではありません。
「一人で就職活動を進めるのが難しい」「自分に合う仕事や働き方を整理したい」「就職後も長く働けるよう準備したい」など、就職に向けて何らかの支援が必要な方が利用を検討しやすいサービスです。
特に、現在の自分の課題がはっきりしていない場合でも、支援員と一緒に整理しながら就職を目指せる点は、就労移行支援を利用するメリットの一つです。
① 一人での就職活動に不安がある人
就職活動は想像以上にやることが多くあります。
- 求人探し
- 応募書類の作成
- 面接対策
- 企業研究
- スケジュール管理
特に精神障害や発達障害のある方の場合、不安やストレスが強くなりやすいため、一人で進めることが難しいケースがあります。
就労移行支援では支援員が伴走するため、安心して就職活動を進められます。
② 過去に仕事が続かなかった経験がある人
転職を繰り返している方や、短期間で退職した経験がある方にも就労移行支援はおすすめです。
大切なのは「なぜ続かなかったのか」を整理することです。
実際の支援現場でも、自己理解が深まることで就職後の定着率が大きく変わることがあります。
③ 自分の得意・苦手が分からない人
就職活動では自己理解が非常に重要です。
しかし実際には、
- 自分に向いている仕事が分からない
- どんな配慮が必要か説明できない
- 苦手なことを整理できていない
という方も少なくありません。
就労移行支援では様々な訓練や実習を通じて、自分の特性を理解する機会があります。
④ 就職後の定着が不安な人
就職することよりも、働き続けることの方が難しい場合があります。



私が見てきた方でも、前職などで「急いで自分一人で進めようとする人」は長く続かない結果がでています。
特に精神障害や発達障害の方は、環境の変化によるストレスで体調を崩してしまうこともあります。
定着支援を活用することで、企業との間に入って調整してもらえる場合もあります。
⑤ 生活リズムが安定していない人
生活リズムが不安定なまま就職すると、遅刻や欠勤につながる可能性があります。
就労移行支援では通所そのものが訓練になるため、働くための土台作りができます。
就労移行支援を利用しなくてもいい人
一方で、すべての方に就労移行支援が必要というわけではありません。
例えば、すでに生活リズムが安定しており、希望する仕事や働き方も明確で、自分で求人を探して応募・面接まで進められる方は、就労移行支援を利用せずに転職活動を進める方法もあります。
大切なのは、「就労移行支援を利用すること」自体を目的にするのではなく、現在の自分にどのような支援が必要なのかを考えることです。
① すでに安定して働ける状態の人
生活リズムが整い、体調も安定していて、就職活動を自力で進められるのであれば、無理に利用する必要はありません。
ハローワークや転職エージェントだけでも十分な場合があります。
② 必要な配慮を自分で説明できる人
企業に対して、
- 何が苦手なのか
- どのような配慮が必要なのか
- 自分で行っている対策
を整理して説明できる方は、比較的スムーズに就職活動を進められることがあります。
③ 就職活動の経験が豊富な人
面接や応募書類作成の経験が十分にあり、自分の課題も把握している場合は、就労移行支援の必要性は低くなるかもしれません。
④ 今すぐ働かなければならない人
就労移行支援は訓練期間を設けるため、すぐに収入を得たい方には向かない場合があります。
ただし、焦って就職して短期間で離職するリスクもあるため、慎重な判断が必要です。
利用するべき人・利用しなくてもいい人の比較表


| 項目 | 利用するべき人 | 利用しなくてもいい人 |
|---|---|---|
| 就職活動 | 不安が強い | 自力で進められる |
| 自己理解 | 整理できていない | 説明できる |
| 仕事の継続 | 離職経験が多い | 安定して働ける |
| 配慮事項 | 整理できていない | 言語化できる |
| 生活リズム | 不安定 | 安定している |
支援員として本当に伝えたいこと
支援員として多くの方を見てきましたが、就労移行支援を利用したから成功するわけではありません。
逆に利用しなかったから失敗するわけでもありません。
大切なのは、「今の自分に何が必要なのか」を理解することです。
もし、
- 仕事が続かない
- 就職活動に不安がある
- 自分の特性が分からない
- 働き続けられるか不安
と感じているのであれば、一度見学や体験利用をしてみる価値は十分にあります。



見学したからといって必ず利用する必要はありません。
まずは情報収集の一歩として考えてみることをおすすめします。
まとめ|迷ったら「働き続けるために必要か」で考えよう
就労移行支援は、すべての人に必要なサービスではありません。
しかし、就職活動や職場定着に不安を抱えている方にとっては、大きな助けになる制度です。
就労移行支援を利用するか迷っている方は、次のような点を基準に考えてみましょう。
- 一人で就職活動を進めることに不安がある
- 自分に合う仕事や働き方が分からない
- 生活リズムや体調を整えながら就職を目指したい
- 自分の得意・不得意や必要な配慮を整理したい
- 就職後も長く働くための準備をしたい
こうした悩みや課題がある場合は、就労移行支援を利用することで、支援員と一緒に就職に向けた準備を進められる可能性があります。
一方で、すでに生活が安定していて、希望する仕事も明確になっており、自分で求人探しや応募、面接まで進められる場合は、必ずしも就労移行支援を利用する必要はありません。
「利用したほうがいいのか分からない」という場合は、まず事業所に相談・見学して、現在の自分にどのような支援が必要なのかを確認してみましょう。
就労移行支援を利用するかどうかは、「障害があるから利用する」のではなく、「今の自分に就職に向けた支援が必要か」という視点で考えることが大切です。

