製造業のボトルネック。解消のコツと板金の具体例
製造業でボトルネックという言葉はよく聞く言葉です。
経営者や役員、管理職の方はよく頭を悩ますボトルネックですが、製造業の永遠の課題というぐらい解決法には悩むものです。
そこで今回はボトルネックの基本的な意味から解消のコツ、さらには注意点までお伝えしていきます。
【この記事で学べること】
ボトルネックの意味、解消のコツ、板金業者での具体例と注意点
ボトルネックとは?
ボトルネックとは、全体の作業工程のうち、処理能力や容量が一番小さい部分を指す言葉です。
どんなに大きなボトルでも、ネック(首)が細いと水が出る量は少なくなってしまいますよね?
このボトルネックという言葉は、ビジネスにおいて全体の作業工程を最も低下させている場所を指す言葉として使われています。
製造業とボトルネックの関係
製造業にとってボトルネックは常に問題視される言葉です。
なぜなら製造業は「設計」「材料調達」「加工」「検査」「出荷」などと様々な工程を得て商品が作られます。
現在「短納期」で「高品質のものを安く作る」ということを求められる製造業では、どれか一つの工程でも問題が起きれば致命的となります。
また、コスト削減や時間短縮という点でもボトルネックは改善点として見られます。
ボトルネック解消のコツ
ボトルネックを解消するには3つのコツが存在します。
それらについて一つずつ見ていきましょう。
今までの当たり前を忘れる
長年勤めているベテランにとっては、正しいやり方というのがどうしてもすぐにでてきます。
しかし、他の会社では全く違った方法で進めていますし、固定観念を捨てることで見えることもあります。
例えば以下のようなことも改めて見直しましょう。
- 全体の工程の作業手順
- 各部署の役割と仕事内容の範囲
- 社員や派遣の人数
- チェック方法
努力ではなく仕組みを変える
経験を積んだ責任者は新人に対して
などと言ったりします。
もちろんこれは正論であり、作業者本人が頭で考えて努力することは大切です。
しかし、ボトルネックを解消するのであればもっと広い視野で仕組みから改善しなければ大きな解決にはなりません。
原因を徹底的に追及する
例えば溶接の工程でいつも仕事が止まるのであればボトルネックは溶接工程だと思われます。
しかし、それは「人数が足りない」からなのか「場所が足りないから」なのか、「次の工程との連携がうまくいっていない」ということか。
原因を調べると実は設計ミスや生産管理の手配ミスが多いのが原因である場合もあります。
その場合は溶接ではなく設計や生産管理に焦点をあてて改善しなければボトルネックは解消しません。
吉良
ボトルネック解消の具体例
では、実際に製造業でのボトルネックはどのように解消しているのか。
過去に勤務した製造業で大きく解消されたことがあったので、その例を紹介します。
業種としては鉄の板を扱う板金業で、機械を使った抜き工程や曲げ、溶接、組立、塗装、配線、出荷などがあります。
改善前の板金会社の流れ
ここでは塗装のあとからの工程は省略しますが、そこまでは以下のように部署が流れていました。
- 営業が受注
- 設計
- 生産管理が工程決め
- 材料手配
- 生産技術が展開、現場用プログラム作成
- 機械による抜き工程
- バリ取り
- 抜き
- 曲げ
- 溶接
- 塗装
ボトルネックの場所
先ほどの工程の中で、常に仕事が止まって放置されていたのが溶接です。
溶接では曲げ工程や抜き工程に比べて一つ一つの作業に時間がかかるという点はあるのですが、それにしても手付かずの状態があまりにも多い状況でした。
そして、原因を調べるとなんと生産技術の展開、プログラム作成が大きなロスを発生させていました。
理由としては以下の3つです。
- ミスが多くて何度もやり直している
- 展開作業者のスキルに差があるので溶接の手間が大幅に増えている
- 溶接の作業者が展開作業者に指導をするので作業が止まる
ボトルネックの解消例
なぜ先ほどのような事態が頻繁にでるのか。
それは生産技術がチェックなしで現場に流しているというのが問題でした。
よって、ボトルネックの解消として、生産技術の展開作業を2人1組で必ずチェックをしてから現場に流すようになりました。
それにより、以下のように成果が現れました。
- ミスが大幅に減少
- ベテランと若手の展開方法が統一
- 溶接作業者が直接クレームを言うことが減った
- 材料の再手配なども減少
チェックを入れたことで生産技術の工数が1.5倍ほど増えたのではありますが、それ以上に材料代や溶接以外も含めてのの工数削減、製品の統一性などメリットが多くありました。
吉良
ボトルネック解消後の注意点
生産技術の改善により、溶接工程の作業時間や部品の待ち時間などが大きく減少し、ボトルネック解消に効果を上げました。
しかし、今度は溶接後の塗装がボトルネックとして大きな時間を止めることが発覚です。
このように、製造業では一つの工程のボトルネックが改善されると、次は他の工程でボトルネックとなるように移動をしていきます。 製造業にとってこのボトルネックは常に存在する課題ですが、根気強く続けることで会社の利益に貢献します。
なので、ボトルネックは常にあると覚悟して続けていきましょう。
まとめ
この記事ではボトルネックの基本的な意味から解決のコツ、注意点についてお話しました。
ボトルネックのコツ・注意点【製造業と関係が深い】
- 今まで当たり前だったことを忘れる
- 仕組みを変える
- 本当の原因を追究
- ボトルネックの場所は変わる
管理職以上の人はボトルネックに頭を悩ますと思いますが、改善内容によっては会社の利益や原価削減に大きな効果を表します。
その積み重ねはあなたの評価につながりますし、会社の業績が上がれば賞与や給料に反映します。なので、ボトルネックの解消は今後も積極的に行っていきましょう。