「障害者雇用なら残業はありませんか?」「残業ができないと採用されないのでしょうか?」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。
実際、私は就労移行支援や定着支援で多くの利用者さんを支援してきましたが、一般就労で長時間残業が続き、体調を崩して退職された方を何人も見てきました。
特に精神障害や発達障害のある方は、残業によって生活リズムが崩れたり、疲労が蓄積したりすることで、症状が悪化してしまうケースも少なくありません。
一方で、「障害者雇用なら絶対に残業がない」というわけでもありません。
企業や仕事内容によっては残業が発生することもあります。
この記事では、障害者雇用における残業の実態や、配慮されるケース、長く働くために知っておきたいポイントを支援員の視点から詳しく解説します。
障害者雇用でも残業はある?
支援員結論から言うと、障害者雇用でも残業が発生することはあります。
ただし、多くの企業では本人の体調や障害特性に配慮し、残業時間を少なくしたり、残業を免除したりするケースがあります。
つまり、「障害者雇用だから残業ゼロ」「一般雇用だから必ず残業がある」という単純なものではありません。
企業と本人が相談しながら決めていくことが多いのが実情です。
障害者雇用で残業が少ない理由
障害者雇用では、企業は長く働いてもらうことを重視しています。
そのため、体調管理を優先し、無理のない働き方を提案する企業が多くあります。
例えば、次のような配慮が行われることがあります。
- 残業を原則なしにする
- 繁忙期のみ相談してお願いする
- 体調が良い日のみ残業を認める
- 短時間勤務を選択できる
- 業務量を調整する
このような配慮は、障害者雇用ならではのメリットの一つと言えるでしょう。
残業が発生しやすい仕事とは?


一方で、障害者雇用でも残業が発生しやすい職種があります。
| 職種 | 残業の可能性 |
|---|---|
| 事務職 | 比較的少ない |
| 軽作業 | 少ない |
| IT・エンジニア | やや多い |
| 販売・接客 | 店舗による |
| 製造業 | 繁忙期は発生することもある |
求人票に「時間外労働あり」と書かれていても、障害者雇用では個別に相談できる場合があります。
応募前に確認しておくことが大切です。
また、もし転職を考えて、転職エージェントの活用を考えている方はあなたに最適な転職サービスを診断!サクキャリマッチがおすすめな理由は?の記事がおすすめです。
残業が難しい場合はどう伝えればよい?
残業が難しい場合は、面接で正直に伝えることをおすすめします。



内定を意識しすぎて「残業できます」と答えてしまうと、入社後に体調を崩してしまう可能性があります。
伝えるときは、次のような話し方がおすすめです。
現在は体調管理を最優先に考えておりますので、基本的には定時での勤務を希望しております。ただし、体調や業務の状況によって対応できる場合は、事前に相談させていただければと思います。
「できません」と断るだけではなく、「相談しながら対応したい」という姿勢を伝えることで、企業にも前向きな印象を与えやすくなります。
支援員として実際によくあるケース
支援の現場では、一般就労で残業が続き、心身の不調につながった方を数多く見てきました。
例えば、毎日2~3時間の残業が続いた結果、睡眠時間が短くなり、朝起きられなくなって退職されたケースもあります。
一方で、障害者雇用では「残業なし」「体調を優先して相談できる」という環境で働き始めたことで、安定して長く勤務できるようになった方も少なくありません。



もちろん、すべての企業が同じではありませんが、「無理をしない働き方を選べる」という点は障害者雇用の大きな特徴です。
残業を断ると不採用になる?
「残業ができないと伝えたら、不採用になるのでは…」と心配される方も少なくありません。
確かに、仕事内容によっては一定の残業が必要な企業もあります。しかし、多くの障害者雇用では、企業は応募者が長く安定して働けることを重視しています。
そのため、無理をして「残業できます」と答えるよりも、正直に体調や障害特性を伝えた方が、お互いにとって良い結果につながることが多いです。
支援員として企業の採用担当者と話す中でも、「できないことを隠されるより、事前に相談してもらえた方が安心できる」という声を聞くことがあります。
もちろん、すべての企業で同じではありませんが、自分に合わない条件で就職してしまうと、結果的に早期離職につながる可能性があります。
入社後に残業が増えてきたときの対処法
入社当初は残業がなかったものの、繁忙期や人員不足などで残業が増えることもあります。
そのようなときは、一人で我慢し続けるのではなく、早めに相談することが大切です。
例えば、次のような対応を検討しましょう。
- 直属の上司へ体調を含めて相談する
- 人事担当者へ配慮事項を再確認してもらう
- 就労定着支援を利用している場合は支援員へ相談する
- 主治医に現在の状況を伝える
- 生活リズムが崩れていないか見直す
体調を崩してから相談するのではなく、「少し負担が大きくなってきた」と感じた段階で相談することが、長く働くためのポイントです。
履歴書や面接で残業について伝える例文
合理的配慮として残業について伝える場合は、「できない」とだけ伝えるのではなく、理由や自分なりの工夫も添えることが大切です。
例文を紹介します。
現在は体調を安定させながら長く働くことを目標としております。そのため、基本的には定時での勤務を希望しております。業務の状況や体調を踏まえ、必要な場合は事前に相談させていただきながら対応したいと考えております。
このように伝えることで、「協力する姿勢」と「無理をしない働き方」の両方を企業へ伝えることができます。


支援員として伝えたいこと
私がこれまで支援してきた中で、一般就労で長時間残業が続き、体調を崩して退職された方を何人も見てきました。
その方々に共通していたのは、「迷惑をかけたくない」「期待に応えたい」という思いから、自分の限界を超えて頑張り続けてしまったことです。
一方で、障害者雇用では、自分の障害特性を理解し、必要な配慮を企業へ伝えながら働くことで、安定して長く勤務されている方も多くいます。
大切なのは、「残業ができるかどうか」ではありません。
自分に合った働き方を企業と一緒に考え、無理なく働き続けることです。
障害者雇用は、そのための選択肢の一つでもあります。
よくある質問(Q&A)
Q&A
- 障害者雇用は残業がまったくありませんか?
-
残業がない企業もありますが、繁忙期などに発生する企業もあります。求人票や面接で確認することが大切です。
- 残業を断ると評価が下がりますか?
-
無理をして働き続けられなくなる方が、企業にとっても大きな負担になります。事前に相談しながら働く方が、結果的に良い関係を築けることが多いです。
- 残業を減らすことを自分で言いにくい
-
定着支援を使っている場合は、支援員から言ってもらうのも方法です。
- 入社後に残業が増えた場合はどうすればいいですか?
-
一人で抱え込まず、上司や人事担当者、支援員などへ早めに相談しましょう。体調が悪化してからではなく、「少し負担が大きい」と感じた段階で相談することが重要です。
もし定着支援を利用していない場合は、障害者の定着支援とは?支援内容・対象者・利用方法をわかりやすく解説の記事も見てみましょう。
まとめ|無理なく働き続けられる環境を選ぶことが大切
障害者雇用でも残業が発生することはあります。
しかし、多くの企業では本人の障害特性や体調に配慮しながら働き方を調整しています。
大切なのは、「残業があるかどうか」だけを見るのではなく、自分が長く働き続けられる環境かどうかを確認することです。
無理をして残業を引き受けるよりも、体調や障害特性を正直に伝え、企業と相談しながら働くことが、結果として長期就労につながります。
一人で判断が難しい場合は、就労移行支援やハローワーク、主治医などにも相談しながら、自分に合った働き方を見つけていきましょう。
以下の記事もおすすめです。
